2007年09月18日

授産施設が独自商品 カブトムシ養殖 コーヒー豆手選別

 障害者が働く各地の授産施設が独自商品の開発、販売に取り組むケースが目立っている。障害者自立支援法の施行で福祉サービス利用料などの負担が増え、収入源の下請け作業も東南アジア諸国に奪われるなど障害者の労働環境は逆風続き。こうした中、付加価値型商品を手掛けて障害者の賃上げを目指す試みとして注目を集めている。

 ■経済負担を減少

 福井県越前市の授産施設「わかたけ授産場・福祉工場」の一角。外気を遮断する扉を開けると、鼻を突く生臭さ。ひんやりした室内には、世界最大のカブトムシ「ヘラクレスオオカブト」のさなぎがプラスチック製容器に入れられ、所狭しと棚に並ぶ。

 自立支援法の施行で、同施設では通所者の利用料金が増え、無料だった食費も1食約500円の支払いが必要になった。そこで白藤宗徳所長(35)は賃金を上げることで経済負担を減らそうと考え、養殖を思い付いた。「障害者の粘り強さは、根気が必要な養殖に向いている」と話す。

 障害者の就労を支援する福井県セルプ振興センター(福井市)は、商工会議所や授産施設などと提携、知的障害者が虫食い豆やカビ豆を手選別したコーヒー豆を今年から販売。雑味の少ない味が好評だ。

 800グラム420円の高級豆腐の販売が好調なのは、約40人の知的障害者が働く宮城県蔵王町の「蔵王すずしろ」。職員が独学で豆腐製造技術を習得。国産大豆100%使用の豆乳の濃度を濃くして風味を際立たせてある。

 ■工賃倍増計画

 全国社会福祉協議会の平成15年度実態調査によると、授産施設の障害者の月額工賃は約1万5000円と低い。主要業務だった下請け作業が、よりコストの低い東南アジアに奪われて施設の収益が悪化しているためで、下落傾向にある。

 現場から自立支援法に対する不満も出ており、厚生労働省は今年、施設で働く障害者の工賃が増えるよう取り組む施設に補助金を出す「工賃倍増計画」を始めた。同省障害福祉課の黒岩嘉弘課長補佐は「施設職員が民間のノウハウを学び、商品開発に取り組めば工賃の倍増は可能」と話す。

 一方、福井県立大の大塩まゆみ教授(社会福祉学)は「こうした施策が社会保障費カットの口実になってはいけない。障害者の相談に乗る社会福祉士を企業が各事業所に配置して働きやすくするなど、一般社会での障害者雇用も促進すべきだ」と指摘している。(2007/09/17 sankei webより)



Posted by めだか事務局 at 18:38│Comments(0)授産施設・作業所
 
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